内閣府の5月の月例経済報告で、「個人消費−横ばい」「設備投資−大幅に減少」「住宅建設−おおむね横ばい」「公共投資−総じて低調に推移」「輸出−下げ止まりつつ」「輸入−横ばい」「貿易・サービス収支の黒字−やや増加」「生産−下げ止まりの兆し」「在庫率−低下」「企業収益−製造業を中心に大幅に減少」「企業の業況判断'−厳しさ増」「倒産件数-高い水準」「雇用情勢-厳しさ増」「完全失業率−高水準で推移」「求人・賃金−弱い動き」「国内卸売物価−下落幅が縮小」「消費者物価−弱含み」「金融情勢−株式相場上昇」等・・・で 「底入れに向けた動きが見られる」との前月の表現を見直す。上方修正は3カ月連続。米労働省が3日発表した4月の雇用統計(季節調整済み)によると、米国の失業率は6・0%となり、失業率の悪化は2か月連続で、1994年8月(6%)以来、7年8か月ぶりの高水準だ。米景気が急速な回復を遂げる一方で、昨年9月の同時テロをきっかけに活発化した企業の人員削減の動きにはまだ歯止めがかかって方が、より強まった。(読売新聞) 近畿2府4県の4月の完全失業率が7.3%と過去最高を更新。(5/31付夕刊)
アメリカの先行き不安を基にした円高現象を引き起こすなどまだまだ世界の景気の不安はおさまるところを見いだせていないといえる。そして、日本の構造改革が具体的に進められてはいないものの、国土交通省主導による不動産の情報公開はレインズの一般公開化に向けた具体化に着実に歩を進めている。
日経H14.5/8付夕刊一面に『全国の不動産、一発検索』「13万社分の100万物件」『来年1月にも新サイト』「国交省と業界スクラム」の見出しでレインズの一般公開版インターネットサイトの開設を発表した。<BR>
IT革命の推進は政府の戦略的課題であり、平成13年1月に『e-Japan戦略』を決定し、続いて3月には『e-Japan重点計画』が決定されるなど、内閣総理大臣を本部長とする「高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部」を中心に、政府全体でIT革命推進に取り組んでいるところである。
e-Japan戦略は「我が国が5年以内に世界最先端のIT国家となることを目指す」こととしており、e-Japan重点計画では、世界最高水準の高度情報通信ネットワークの形成、行政の情報化及び公共分野における情報通信技術の活用推進、などが掲げられている。同計画の着実な実施を図るため、13年6月には年次プログラムとして『e-Japan2002プログラム』が策定され、特に日本のIT革命の姿を世界に広く提示するショーケースとして「e!プロジェクト」を推進することとされている。これらに基づき、国土交通省としても、総合的かつスピーディーにIT施策を展開していく必要がある。(以上、国土交通省白書)
平成13年度の指定流通機構の活用状況によると、近畿圏(大阪・京都・兵庫・滋賀・奈良・和歌山)は166千件で物件構成比26.6%で他地域に反して年々新規構成比は下がっている。(首都圏272千件43.7%)新規登録件数(売り物件)を契約形態別にみると、平成13年度は専属専任・専任で全体の60.5%を占めている。また、平成13年度の会員数は136,014で、その内PC会員が39,923で29.4%を締めるまでに至ったものの、日本の全人口に占めるネットの普及率が2001年末時点で44%(5千5百93万人)に達している(平成14年5月22日、日経朝刊38面)事に比較すると、不動産業界の立ち遅れは危機的状況といえる。
自宅で使っている人の目的は、電子メール64.8%、音楽配信など趣味や娯楽のホームページ閲覧が45.9%、ビジネス情報の入手21.3%、全国どこでも格安で通話ができるネット電話の利用は3%にとどまっている。高速ネットの利用者は2006年度には3千4百万世帯に達する見通し(NTT系のシンクタンク)である。
高度経済成長の下で、がむしゃらに働き地道に生活基盤を築き、世帯をもった我々の親の世代が作り出した社会=年功序列と大企業の安定の上に機能してきた信頼と秩序=日本型システムとよばれる規制に守られた社会の枠組みと、均質的な夢を描いた戦後の総中流文化が、大きくゆらいで崩壊をもたらすでしょう。
家族や企業、国家という共同体にもっぱら依拠した20世紀型の産業社会が姿を変え、資質と能力を持った「個人」が世代や国境を超えた情報のネットワ−クで結ばれる社会の宿命でもある。
1980年代にリクルートが定職につかないアルバイトを「フリーター」と名付けた。今や派遣社員とフリーターの総数は約345万人。農林業の300万人を上回り、大きな勢力になった。「非正規従業員という否定的な呼び方は時代遅れ」。リストラで正社員(2001年8月、3597万人)の地位が揺れる中、「非正社員(同、1377万人、パート・アルバイト・派遣・契約・嘱託社員など)」の新たな名称が求められている。その存在が、今、働く人々の「人件費」という値打ち自体を引き下げる結果を導きかねない事に気づかなければならない。
不動産の下落が続く下で、社会経済不安が膨らむだけでなく、インターネットによる情報開示により、不動産業界不安が決定的な衝撃を加えることになる。先々の不動産業務継続の不安は『不動産業界勤務者』のだれもがたどり着くのである。今の、生活の余力を節約という消費の後退による益々のデフレ助長という犠牲を払ってでも、誰もが『仕事』の確保を優先させようとするでしょう。言い換えれば『如何に組織を選んででも、働く職場の確保を目指すか』の感覚を持たなければならないのである。
既に、現在でも中小不動産業者(全宅連会員企業モニター)の51.6%が経営状態が悪いと判断しており、さほど良くないという状態を合計すると93.4%にも達しているのである。
全宅連(11万社)、全日本不動産協会(2万2千社)、不動産流通経営協会(大手中心に約300社)が参加するサイトの出現は少なくとも数万社が淘汰される結果は避けられないであろう。
資本主義の論理に基づく本格的な自由競争が激しさを増す『勝負の年』であるからこそ、『勝ち残りの解』は、営業を継続できる「企業の数」であり、仕事ができる場所の確保です。如何に会社を潰さず存続させるかなのです。技術が進歩し営業手法が多様化するほど、その技術を取り入れ、活用する能力を問われていると言えます。
インターネット革命や外資の参入による考え方の変遷などが、日本の経済の混乱と経済市場を戦場に変えるものと驚異を与える中で、今こそ死に物狂いで会社の存続に力を注がなければならないのです。
インターネット時代に逆行出来ないのは議論するまでもなく、それに対応できない業種、業界そして業者はいずれは無用の長物になるであろう。
しかし、その反面それが進めば進むほど、人は人間同士の繋がりやコミュニケーションを欲するし、大切にするのではないだろうか。ある意味では不動産は地場産業である。
地元に密着したマーケティングやコミュニティーに根付いたやり方で、インターネットを駆使していけば自ずと結果は1+1=2以上の成果が出てくるのではないだろうか。
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